100冊読書・003 乙一「暗いところで待ち合わせ」

Facebookでおすすめの本を募ったところ、サキちゃんが薦めてくれた小説。サキちゃんは、東京に来て初めて出演したお芝居の共演者で、いまは結婚してベトナムにいます。顔が丸くてぷにぷにしていて可愛いひとです。

「カタカナの正体」が難しかったので、次は読み易いものにしようと決めていて、本屋さんをぷらりとしていたら目に止まったのでこの本にした。乙一作品は何冊か読んでいるけれども、「弁顕密二教論」とか「毘盧遮那仏」とかきっと出てこないし。

「暗いところで待ち合わせ」は、警察に追われている男が目の見えない女性の家にだまって勝手に隠れ潜むという内容で、何というか、最低限のリアリティーで構築されたロマンティックな話だった。

孤独と諦観は万能。と、時々思うことがあるけれども、万能な人生はやはりつまらなくて、不安定さのなかにこそ大きな喜びはあるなあと思う。しかし、何かを期待して他者と関わり、思うようにいかず深く傷付くというのは、やはり怖いことであるし、自分を守るために周囲を切り捨てるというやり方をわたしは完全には否定できない。むしろそう出来たらいいとさえ思う。

でもやっぱりね。この本を読んで、コミュニケーションというのは人間にとって抗い難い快楽であって、もう、そういう仕様になっているよなあと改めて、思って。恐ろしいような哀しいような、複雑な気持ちになった。